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2016年6月3日(金)、5日(日)
飯舘村の記憶と記録プロジェクト

写真家の岩根愛さんによるプロジェクトが動き出しました。
飯舘村の方に飯舘の暮らしのお話をお聞きし、
その方の大切な場所で360度パノラマ写真を撮影。
言葉と写真で、過去と現在の飯舘村を記憶し伝えていきます。

6月3日(金)
飯舘村の消防団長を長く務められた荒利喜さんにお話をお聞きし、撮影を行いました。
飯舘村飯樋地区のみなさんに様々な品を供給してきた荒商店の店主にして、消防団長だった荒さん。
撮影は、築90年というご自宅の前。
お向かいの荒商店ももちろん映ります。

ご自宅前にて

ご自宅前にて

荒さんは消防団長の制服を着て撮影に臨まれました。
荒家の長男としての荒さん。
荒商店の店主として地域に尽くしてきた荒さん。
消防団長として震災前後、休む間もなく飯舘村のために働いてきた荒さん。
3人の荒さんは、きっと岩根さんの写真のなかで融合して現れることでしょう。

撮影前後にお聞きしたお話は、今と昔を行き来しながら豊かに広がりました。

荒さんからお話を伺う岩根さん

荒さんからお話を伺う岩根さん


築90年の荒さんの思い出が詰まったご自宅は、震災と避難中の豪雪の影響のため、今年壊すことに決められたそうです。
愛おしげにご自宅を眺める荒さんの表情。きっと忘れないと思います。

6月5日(日)
引き続き、岩根さんによる撮影が飯舘村で行われました。
今回の撮影地は飯舘村内で警戒区域となっている長泥地区。
Sさんのご協力を得て除染の仮置場を撮影。

除染・・・

除染・・・


その後、Sさんご夫婦から飯舘村でのかつての暮らし、震災後の暮らしについてお話を伺いました。
農業のご苦労、畜産の工夫、震災後のストレスなど2時間以上お話をお聞きすることができました。
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飯舘村での暮らしを語るSさんご夫妻

飯舘村での暮らしを語るSさんご夫妻

まだまだ先が見えないことのご心労がこちらにも伝わってきました。
空になった牛小屋の暗がりと初夏の緑が心に残る6がつの飯舘村です。

これまでの活動成果で福島を伝える、はま・なか・あいづ文化連携プロジェクト成果展
今年度第1弾が長岡造形芸術大学で開催されました。

FUKUSHIMA SPEAKS
アートで伝える 考える 福島の今、未来 in NAGAOKA
会期:2016年5月23日(月)〜5月29日(日)
会場:長岡造形芸術大学 1Fギャラリー

展示風景

展示風景

今回の成果展では
岡部昌生さんのフロッタージュ作品、
片桐功敦さん、安田佐智種さん、赤阪友昭さん、本郷毅史さん、岩根愛さん、土田ヒロミさんの写真作品、
映像作品「KUROZUKA 黒と朱」「KUROZUKA 黒と光」を展示しました。

長岡造形芸術大学はコンクリート打ちっ放しの素敵な大学。
そこを展示空間に作りかえていきます。
造形大の小林花子先生はじめ、学生のみなさんのサポートにより、作業はみるみる進みます。

高所作業

高所作業

高所作業その2

高所作業その2

作業は夜まで続きます

作業は夜まで続きます

展示作業2日目には、即席の展示実習が行われました。
作品をどのように配置したら、最も効果的に見えるのか。
たいへん重要かつ難しい作業です。
学生さんたちが悩み抜いた甲斐あって、すばらしい仕上がりになりました。

作品を前に煩悶する学生さんたち

作品を前に煩悶する学生さんたち

展示作業3日目。佳境です。

学芸員も負けてはいられません

学芸員も負けてはいられません

ハプニングもありましたが、5月23日には無事オープンを迎えることができました。
オープン初日には参加作家の本郷毅史さんが来場し、ご本人から解説を伺う貴重な機会となりました。

本郷さんによるレクチャー

本郷さんによるレクチャー

会場風景

会場風景

会期中の5月26日には、参加作家の岡部昌生さんと、福島県立博物館学芸員・川延安直によるトークイベントが行われました。
会場には水流理事長様をはじめ70名を超える方がお越しくださいました。
事務局からの本事業についての説明に続き、岡部昌生さんから福島での制作について語っていただきました。
拡張するアート、歴史を学ぶ姿勢等、参加した学生さんたちに美術家の魂はまっすぐ届いたと思います。
質疑に真っ先に手を挙げた建築を学ぶ学生は福島市の出身でした。会津出身の卒業生も来てくれました。
若い世代に福島を語り継ぐ、ともに考える。
事業の手応えを感じる時間でした。
トーク後の交流会にも多くの学生が参加してくれました。
ご参加いただいたみなさまありがとうございました。

作品の前で行われるトークイベント

作品の前で行われるトークイベント

岡部昌生さん

岡部昌生さん

終了後の記念撮影

終了後の記念撮影

5月29日に成果展は終了しました。
来場されたみなさま、手伝ってくださったみなさま、本当にありがとうございました。

帰路につく作品たち

帰路につく作品たち

東日本大震災、東京電力福島第一原子力発電所の事故から5年が経ち、その記憶は早くも薄れつつあります。
しかし、それは忘れてはならないことであり、多くの人が共有し考え続けなければならない問題です。
はま・なか・あいづ文化連携プロジェクトの中で、個々の作家がそれぞれの方法で福島と向き合い生み出された作品は、静かに、しかし強くそのことを伝えます。
見る者それぞれの中に投じられた問いかけが、波紋となり、他者と響き合う。
この成果展がそのきっかけとなれたら。そう願ってやみません。

今年度のはま・なか・あいづ文化連携プロジェクトは、
県内外での成果展・発信事業を精力的に開催していく予定です。
多くの方にご来場いただけるよう、よいものをお届けすべく努力してまいります。

2016年5月8日(日)
福島祝いの膳プロジェクト
フードアーティスト中山晴奈さんによる福島の食のリサーチプロジェクトが今年度の活動をスタートしました!
駆け足で進む今年の季節に追いつこうとするように山の懐に向かい、西会津の山菜リサーチ。
NPO法人西会津ローカルフレンズの皆さんのご協力のもと、山菜採りと調理のプロ!農家民宿経営の佐藤ミヨ子さんにたくさんのことを教わりました。
山菜の特徴、採り方、加工の仕方。
春の山はとても豊かな恵みで満ち満ちていました。それらを分けてもらい、手間暇かけて次の春まで1年間食べられるように保存のための加工をする。
それらは全て生きるためのこと。災害が起きた時それは大きな役割を果たすということ。
山に暮らす女性達から多くのことを学んだリサーチとなりました。

山菜採りを体験する中山晴奈さん

山菜採りを体験する中山晴奈さん

よく晴れた5月の一日。
新緑に輝く山々に囲まれた西会津奥川地区には、清流の水音が響いていました。
遠くには雪が残る飯豊山も臨めます。
山の懐に抱かれた美しい集落で、山の恵みをいただいて生きる暮らしをリサーチしました。

西会津町奥川の風景

西会津町奥川の風景

まずは農家民宿「みちのく山菜の宿」を営む佐藤ミヨ子さんから、山菜の保存方法を伺いました。
春に採れる山菜を長い冬の保存食とするために培われてきた知恵と技術の数々!
ぜんまいは筵に広げ、天日に干します。手前右は採れたてで、まだ青々としています。
それを揉んで余分な物を落とし、次第に乾燥させていきます。
ミヨ子さんの揉み方はとても無造作に見えますが、そこには熟練の技が隠されているようです。

ぜんまい揉みをするミヨ子さん

ぜんまい揉みをするミヨ子さん


こちらは塩漬けにされた蕨。
私たちはつい塩の量や、漬ける時間を聞いてしまいますが、
ミヨ子さんは長年の経験から、自然にやっているのだとか。
塩漬けされた蕨

塩漬けされた蕨その他

さて、いよいよ山菜採りに出発です。
今回は初心者向けに、ミヨ子さんの家の裏山で蕨を採らせていただきました。

蕨採りの出で立ち。なんだか勇ましい。

蕨採りの出で立ち。なんだか勇ましい。


つい夢中になる人々

つい夢中になる人々


収穫

収穫

おなかもすいてきたところで、ミヨ子さん手作りの山菜料理をふるまっていただきました。
素晴らしく美味しい山菜料理の数々に、しばしリサーチを忘れて舌鼓を打ちました。
(その後、しっかり調理法も伺いましたのでご心配なく)

ウドの煮物

ウドの煮物

蕨のお浸し

蕨のお浸し

山菜天ぷら盛り合わせ

山菜天ぷら盛り合わせ

最後に喜多方市のもう一人の達人のもとを訪ねました。
こちらでは蕨も揉んで乾燥させるようです。
おばあちゃんが揉んでいる横で、猫たちがくつろいでいる、そんな温かな午後。

蕨を揉む達人

蕨を揉む達人

傍らに寝そべる猫

傍らに寝そべる猫

ミヨ子さんや、喜多方のおばあちゃんが山菜を揉むのに使っている筵。
うまく揉むためには茣蓙ではなく筵がよいのだそうです。
以前は自分で筵を編んでいたとのことですが、今では筵を作る方も減り、大切な技が失われつつあるとのことでした。

山の恵みに感謝して、大切にいただくこと。
そのための知恵や技。
特に冬には厳しい環境だからこそ、育まれてきたことなのだと思います。
スーパーに行けば多様な食材が並んでいることが当たり前な今、それらは忘れられつつあります。
また、産地や成分を気にしても、本来食べ物がつないでいた自然と人との関係に思いをいたすことは稀です。
私たちの血となり体となる食べ物について、もっと根本的に大切なことがあるのではないか。
そう感じさせられたリサーチでした。

昨年度は川や海でのリサーチが中心でしたが、今年度は福島の山の恵みについてもリサーチしていきます。
続編は追って、アップしていきます。