アーカイブ 2016

開催趣旨

2011年3月11日の東日本大震災、その後の東京電力福島第一原子力発電所事故により福島県内には津波・地震による被害に加え放射線汚染被害、さらに、そこに由来するコミュニティの分断、風評被害が発生し、今なお多くの局面で復旧・復興が急がれています。
この状況から一歩でも前進するため、福島県立博物館と福島県下の各地域の博物館、文化事業に携わる大学、NPOなどの諸団体が連携し文化活動の支援を行うことを目的に、はま・なか・あいづ文化連携プロジェクトを2012年にスタートしました。
2012年度は、地域への愛着を象徴するような文化財の活用に配慮し復興につながる文化的事業の継続的な展開をめざしました。
2013年度は前年度の実績を踏まえ、事業をさらに発展させるとともに、福島県立博物館と地域との協働、他分野との連携・融合、地域へのアウトリーチを積極的に推進しました。
2014年度は、震災後4年目の福島に必要な文化的な事業を、各団体との協議の上で計画し、福島の文化の豊かさの再認識、福島の現状の共有と発信を柱に実施しました。
2015年度は、震災・原発事故からの時間の経過と共に際立つようになった県内各地域が抱える問題・課題の差異に留意しながら、それらの解決につながる文化的なアプローチとなることを目指しました。
福島県を地理的に区分する「はま・なか・あいづ」は、それぞれの地域の文化や自然の特徴を生み、福島に多様な豊かさをもたらすものです。2011年以降は、同時に、震災と原発事故による影響の差異を生み出すものともなりました。豊さと課題。福島が大事にし、向き合わなくてはならないそれらを多くの方と共有することを目的に、2016年度は11のプロジェクト・プログラムを実施しました。

開催概要

実施期間: 2016年4月1日~2017年3月31日
プロジェクト活動期間: 2016年4月21日~2017年2月28日
参加アーティスト: 約20人
主な活動エリア: 南相馬市、浪江町、大熊町、いわき市、飯舘村、福島市、西郷村、石川町、喜多方市、会津若松市、西会津町、三島町、双葉町、他
主催: はま・なか・あいづ文化連携プロジェクト実行委員会
構成団体: 南相馬市博物館、福島大学うつくしまふくしま未来支援センター、福島大学芸術による地域創造研究所、いいたてまでいの会、NPO法人まちづくり喜多方、事務局:福島県立博物館
協力団体: 南相馬市国際交流協会/朝日座を楽しむ会/NPO法人まちづくりNPO新町なみえ/NPO法人西会津ローカルフレンズ/NPO法人Wunder ground
実行委員会委員長: 赤坂憲雄(福島県立博物館長)
事務局: 福島県立博物館
助成: 平成28年度文化庁地域の核となる美術館・歴史博物館支援事業

プロジェクト

記憶の継承・コミュニティ創出プログラム
暮らしの記憶プロジェクト

2013年度から浪江町請戸地区、南相馬市小高区を中心とした津波による流出家屋の撮影作業を行ってきましたが、浪江町教育委員会のご協力で得られた情報をもとに、2016年度は、撮影家屋の住民の方々からかつての住まいでの暮らし、現在の暮らしについてお聞きし映像、テキストにまとめました。浪江町、二本松市、山形県などの、かつての住宅跡、仮設住宅、県内外の新しい住まいでインタビューを行いました。その際、かつての住宅、現在の住宅の間取りを描いていただき、記憶と現状を比較する作業を行いました。また、撮影成果を集約したプリント作品、記録集を制作しました。これらにより活動は立体的な構成を持ち、今後の活用が期待できます。
一歩一歩足元を撮影しながらの調査・記録は、一ヶ所の住宅で2.000カットを超えます。それらの住宅数件を構成し成果展で展示公開した作品は大きな反響を呼びました。本年度に実施した住民の方々へのインタビュー映像に合わせ、失われたコミュニティ、生活再建への思いを記録するアーカイブとなりました。

形式:調査・制作
アーティスト:安田佐智種

安田佐智種
東京都生まれ。美術作家。
東京藝術大学大学院修了後に渡米。ニューヨークを拠点に活動。身体の記憶と視覚の関係性を追求する作品を制作。主な展覧会に、カリフォルニア写真美術館、Base Gallery、国立新美術館、セゾン美術館等がある。

記憶の継承・コミュニティ創出プログラム
地域の民俗の記憶プロジェクト

写真家高杉記子氏は、震災後、国指定重要無形民俗文化財相馬野馬追に出会い、祭礼に参加する騎馬武者の方々のポートレートを撮影してきました。しっかりと大地に立つその姿は、土地に根ざした文化がいかに人々の誇りやアイデンティティを育んできたのかを物語ります。
2016年度は、実行委員会構成団体の一つである南相馬市博物館の学芸員二上文彦氏からの提案を受け、野馬追を支える多様な人々の存在を捉え撮影しました。獣医師、甲冑師、装蹄師、染め物師、神事に携わる御小人・・・。手仕事の人々にとって、まずそれは生業であり生活であり、技を磨き工夫することに余念がありません。しかし、その背後にはいつも野馬追がありました。高杉氏の写真は、自らの技で野馬追に関わる喜びと誇り、土地の文化と人々の暮らしとのつながりを伝える作品となりました。
「野馬追ダイアログvol.2」を、昨年に引き続き南相馬市民文化会館ゆめはっとギャラリーで開催しました。華々しい騎馬武者とは異なり、地元でも知ることの少ない手仕事の人々の姿を、高杉氏の写真作品と取材時に聞き書きした言葉で紹介するとともに、改めて野馬追が地域にとって、日々の暮らしの中で、どのような存在なのかを捉え直す場としました。
甲冑師の高橋一幸氏、南相馬市博物館学芸員二上氏、高杉氏によるトークセッション「野馬追のある土地と生活」は、仕事へのこだわり、野馬追への思い、野馬追を続けてゆく上で考えなければならない後継者の問題など、野馬追と手仕事をめぐる過去・現在・未来を語る場となりました。また、当日は南相馬市博所蔵の甲冑や高橋氏の道具類が会場に展示され、高橋氏制作のパーツには実際に触れることもできました。高杉氏が本プロジェクトを通して築いてきた関係が様々な形で結びつき、野馬追のこれからにつながってゆく可能性を確かめることができました。

形式:調査・制作、トーク
アーティスト:高杉記子

高杉記子
山梨県生まれ。写真家。
ロンドン芸術大学大学院London College of Communication卒。雑誌編集者、広報の仕事を経て、写真家として活動中。ポートレートを中心に、アイデンティティ、人と土地をテーマとして制作。

野馬追ダイアログvol.2 野馬追をつなげる手仕事の人々~いつのまにか甲冑師になっていた~

写真展「いつのまにか甲冑師になっていた」

会期:2017年1月28日(土)~2月5日(日)
会場:南相馬市民文化会館 ゆめはっとギャラリー
後援:南相馬市、相馬野馬追執行委員会、相馬野馬追保存会
協力:公益財団法人南相馬市文化振興事業団
主催:はま・なか・あいづ文化連携プロジェクト実行委員会

トークセッション「野馬追のある土地と生活」

日時:2017年2月5日(日) 13:30~14:30
会場:南相馬市民文化会館 ゆめはっとギャラリー
講師:高杉記子(写真家)、高橋一幸(甲冑師)、二上文彦(南相馬市博物館学芸員)

ギャラリートーク

日時:2017年1月28日(土) 11:00~12:00
会場:南相馬市民文化会館 ゆめはっとギャラリー
講師:高杉記子(写真家)

記憶の継承・コミュニティ創出プログラム
飯舘村の記憶と記録プロジェクト

飯舘村の記憶と記録プロジェクトは、2011年に起きた東京電力福島第一原子力発電所事故により全村避難となった飯舘村の歴史や文化の継承を目的に、村の方々に村での暮らしについてお聞きしてきました。そこから浮かび上がってきたのは、寒冷な厳しい自然環境だからこそ、自然からの恵みを大切に、日々の知恵によって自然と向き合い、人と人のつながりを大事する生き様でした。
2015年度からは写真家の岩根愛さんに参加いただき、聞き書き調査にご協力をいただいた方のお話しに出てくるその人にとっての大事な場所での撮影も行っています。
岩根さんは、ハワイの日系移民への取材で出会った360°撮影できる大型で時代物のパノラマカメラで撮影を行っています。かつて日系移民の方々には、亡くなった方の棺を葬儀の時に囲み米軍から譲り受けた360°パノラマカメラで記念写真を撮影する慣習があったそうです。祖国から遠く離れた地で亡くなった仲間を悼む思いを、形に残したものだったのかもしれません。
使われなくなっていたカメラを譲られた岩根さんは、東日本大震災後、東北出身の先祖を持つ日系移民の方々と東北への支援をはじめます。その中で福島県内の原発事故からの避難者に出会い、被災していないのに住めなくなった自宅と避難者を360°パノラマ写真で撮影することをはじめました。
岩根さんの活動を知り、本プロジェクトへの協力を打診しました。飯舘村の方々への聞き書き調査とあわせてお話しに出てくる場所での撮影を行うことで、失ってしまったかつての飯舘村の存在をより複合的に記録することが可能だろうと考えたからです。
2015年度は6名の方のポートレートを撮影しました。2016年度は5人の方のポートレートと周囲の風景の撮影を行いました。撮影場所の多くは、聞き書きしたお話しの主要な舞台であるご自宅や仕事場でした。大切な思い出の場、今は住めない場に立ち、カメラのレンズを見据えた視線は、どれも強い意志を感じさせるものでした。場所への思いの強さ、困難な状況への怒り、未来に向けた意志。事務局とともに丁寧に被写体への聞き書き調査を行った岩根さんがファインダーの向こういるからこそ、見せて下さった表情でしょう。
2016年度の撮影は、2017年度から大きくあり方を変える飯舘村の状況を直接的に伝える結果ともなりました。飯舘村は2017年4月1日に帰村しました。村内唯一の帰還困難区域である長泥地区を除いて。帰村する地区では、2016年から住宅の取り壊しが進みました。数年間の避難生活の間に痛んだ自宅を壊し建て直す人が出たからです。2016年度中の住宅の取り壊しには助成があったことも大きい、と聞きました。
被写体となったお一人は、取り壊す予定の自宅の前で、長年務めた消防団長の制服を着用して撮影に臨みました。先祖が建てた愛着ある家。消防団長の制服を着用して、何度この玄関から出かけたのでしょう。今すでにその家はありません。自宅での暮らし、地域への思いを聞かせてくださった温もりのある茶の間は消えてしまいました。けれど、岩根さんが撮影した写真の中で、静かな威厳ある表情の元消防団長とともに私たちの目の前にはあります。
他の4名の方は長泥地区の方でした。村内で唯一ゲートに封鎖された地区。帰村ができないこの地区でも、しかし除染作業は試験的に行われています。自宅の前に積み上げられた汚染物を入れたフレコンパックの山。時折、妻とともに手入れに訪れる自宅の前を、その家の主は撮影場所に選びました。隣接する自宅の牛舎には、かつて愛情を注いで育てていた牛たちはいません。
飯舘村に限らず避難解除による帰町・帰村は、時にかつての大切な暮らしの寄り処の消去を伴わせます。失い、取り戻すためにまた失います。そして帰れるか、帰れないのかの狭間で振り回され続けている人もいまだ多数います。
飯舘村の記憶の記録プロジェクトは、かつての飯舘村を言葉と写真で記録すると同時に、今の飯舘村も残す結果となりました。それは、福島で起きていることを、その意味を未来に問いかけるでしょう。

形式:調査・制作
アーティスト:岩根愛

岩根愛
東京都生まれ。写真家。
ハワイの日系人文化や、世界の多様なコミュニティについての取材を続けている。ハワイで1930年代に日系人が集合写真撮影に使用していたパノラマカメラで、原発事故により変化している福島県内の避難区域の撮影を行っている。

学ぶ・知る・創造するプログラム
伝える考える福島の今プロジェクト

猪苗代フォーラム~触れてはいけないものにしないために。対話する、考える。~
特定のテーマを切り口に、福島を伝え考える場を設けることを目的とした本プロジェクト。第1回となった猪苗代フォーラムでは、日本社会が抱える「触れてはいけない」こと、そしてそれらを「触れてはいけない」こととしてしまう社会の在り様を取り上げました。
「触れてはいけない」と思われていること。障害、貧困、格差、差別、政治、原発。福島?
「触れてはいけない」ことの渦中に身を置く人から、話を聞き、理解し(ようと努め)、自身の考えを探ります。2日間に渡って行ったトークでは、避難、障害、福祉、文化、エネルギーなどをキーワードに5つのトークと2つのクロストークを行いました。来場者も参加したクロストークのディスカッションは、対話の芽を生みだしたようでした。
会場はボーダレスな社会を文化で目指す猪苗代町のはじまりの美術館。静岡県浜松市で社会包摂を目指す活動を行っているNPO法人クリエイティブサポートレッツとの協働により実施しました。

トーク「触れてはいけないものに触れる」

日時:2016年8月19日(金) 17:00~20:00
会場:はじまりの美術館
内容・講師:
トーク1「企業×NGO×避難者でつくる新しい仕事」富永美穂(NPO法人しんせい理事)
トーク2「ボーダーのない美術館」 岡部兼芳(はじまりの美術館館長)
トーク3「文化が繋ぐ」 川延安直(福島県立博物館学芸員)
クロストーク「触れてはいけないものに触れる」 富永美穂×岡部兼芳×川延安直×久保田翠(クリエイティブサポートレッツ理事長)×会場

トーク「福島から社会が変わる」

日時:2016年8月20日(土) 17:00~19:00
会場:はじまりの美術館
内容・講師:
トーク1「エネルギーを変える」 佐藤弥右衛門(株式会社会津電力社長)
トーク2「文化が変える」 小林めぐみ(福島県立博物館学芸員)
クロストーク「考え、語り、動く社会の姿とは?」 佐藤弥右衛門×小林めぐみ×久保田翠×会場
主催:はじまりの美術館、認定NPO法人クリエイティブサポートレッツ、はま・なか・あいづ文化連携プロジェクト実行委員会

トークイベント×現地視察ツアー「福島の風景から読むFUKUSHIMA」
特定のテーマを切り口に、福島を伝え考える場を設けることを目的とした本プロジェクトの2回目は、福島写真美術館プロジェクト参加作家のお一人、写真家の土田ヒロミさんの福島での撮影の視点を基軸としました。
2011年以降、定点観測のように福島県内のいくつかの場所を繰り返し訪れ撮影している土田さんの視点は、震災・原発事故後の風景の変遷を捉えました。トークと現地視察ツアーによって構成した本事業では、土田さんがこの5年間撮影された写真に導かれながら、福島の風景をともに読み解くことを試みました。
1日目のトークでは、土田さんと文化資源学を専門とされる木下直之さんのトークにより定点観測での撮影記録の意義を言語化。大熊町の鎌田清衛さん、飯舘村の菅野宗夫さんからは、避難地域の現状を文化と農業の側面からお聞きし、風景の変遷の背景への理解も深めました。
2日目、現地視察ツアーで実際に撮影ポイントをめぐる中、除染作業等で日に日に変わる風景が目の当たりとなりました。福島で今起きていることを実感するツアーとなりました。

トークイベント

日時:2016年11月19日(土) 15:00~18:30
会場:県庁南再エネビル会議室
内容・講師:
「福島の風景から読むFUKUSHIMA~土田ヒロミWORKS 2011-2016~から」
土田ヒロミ(写真家)×木下直之(東京大学教授)
「福島の文化財保存の現状について」
鎌田清衛(おおくまふるさと塾顧問、大熊町文化財保護審議委員)
「福島の農業復興計画現状について」
菅野宗夫(農業、福島再生の会副理事長)

現地視察ツアー

日時:2016年11月20日(日)9:00~20:00
開催地:川俣町、飯舘村、南相馬市、浪江町、大熊町、富岡町
講師:土田ヒロミ(写真家)、菅野宗夫(農業/福島再生の会副理事長)
協力:文化資源学会
主催:はま・なか・あいづ文化連携プロジェクト実行委員会

現地視察ツアー「福島・文化・文化財~被災地のミュージアムと文化財のこれから~」
震災後間もなくから開始された文化財レスキューも現在は一段落し、レスキューされた文化財は各所の仮保管施設に収蔵されています。帰還が始まった地域が拡大する中、東京電力福島第一原子力発電所に近い双葉町は現在も一般の立ち入りが禁止されています。本ツアーでは双葉町の多大なご協力をいただき、双葉町歴史民俗資料館、老人介護施設等を巡りました。福島県立博物館で収集・展示された震災遺産資料を見学、映画「ASAHIZA」観賞、南相馬市博物館学芸員の案内で仮収蔵されているレスキューされた資料を見学、さらに参加者間のダイアローグを交えることで、福島の文化財の状況を知り、文化の意味を考えるツアーとなりました。映画監督・藤井光が同行し詳細な映像記録を収録しました。

1日目

日時:2017年2月17日(金) 13:30~17:00
開催地:会津若松市(福島県立博物館)
内容:
映画「ASAHIZA」上映
ふくしま震災遺産保全プロジェクト収蔵資料・成果展見学
ディスカッション「福島の震災をいかに伝えるか」 司会:藤井光(映画監督)

2日目

日時:2017年2月18日(土) 9:30~18:30
開催地:南相馬市
内容:
ツアーガイド「震災後の福島での撮影について1」 報告:藤井光(映画監督)
南相馬市博物館、南相馬市立福浦小学校見学 ガイド:二本松文雄(南相馬市博物館学芸員)
ディスカッション 司会:藤井光(映画監督)

3日目

日時:2月19日(日) 9:30~19:00
開催地:いわき市、双葉町
内容:
トーク「文化財レスキューについて」 報告:藤井光(映画監督)、吉野高光(双葉町教育委員会生涯学習係長)
双葉町歴史民俗資料館、ヘルスケアーふたば、復興祈念公園・アーカイブ拠点施設予定地見学 ガイド:吉野高光、橋本靖治(双葉町秘書広報係長)

学ぶ・知る・創造するプログラム
福島祝いの膳プロジェクト

福島では食の安全・信頼が、東京電力福島第一原子力発電所の事故によって深く傷つき、いまだ大きな揺らぎの中にあります。フードアーティストの中山晴奈氏は、福島の持つ食文化の多様性、豊かさを捉え直すべく、県内各地で食材・食文化のリサーチを継続しています。2016年度は西会津町、昭和村、裏磐梯、北塩原村、福島市のリサーチを行いました。
山の懐に抱かれ、山の恵みの豊かな西会津町では、山菜の種類、採り方、調理法、保存のための加工法をリサーチ。冬が厳しい土地だからこそ、山からいただいた恵みを大切に大切に保存する技術が発達していました。同じく山深い昭和村では、豆の多様な品種とその調理法、貴重な栄養源ともされた水飴の製法などを教わりました。この二つの土地には、そこで採れたものを食べ、丁寧に生きる食文化がありました。
北塩原村の裏磐梯では寒冷な土地ならではの蓴菜(じゅんさい)栽培をリサーチ。後継者不足を契機に、蓴菜沼を新たな観光資源として活用していく取り組みがなされていました。また、北塩原村では塩分の高い温泉を利用した山塩の歴史・製法も学びました。一度途絶えた製法を試行錯誤のうえ復活させ、特産品として定着させています。食の新たな活用と価値付けの試みがなされています。
福島市では梨と桃の果樹園で聞き取りを行いました。主に贈答用に出荷される高級果物は、原子力発電所事故の影響を被った食品でもあります。福島はフルーツ王国とも称されますが、果樹栽培の歴史は福島の近代の歴史とも直結しています。
主に海産物のリサーチを行った2015年度に対し、今年度は内陸部が中心となりました。その土地に根ざした食材・食文化、食と密接に結びついた土地の歴史。福島の食文化の豊かな広がりと、食を通して見る文化という視座の面白さを改めて確認できたリサーチでした。

形式:調査・制作、トーク
アーティスト:中山晴奈

中山晴奈
千葉県生まれ。フードアーティスト。
ケータリングのほか、フードとアートのワークショップや作品制作を各地で行い、地域の隠れた資源を見つけ、ユニークなかたちで世に出している。2012年にNPOフードデザイナーズネットワークを設立。現在理事長。神奈川県藤沢市で食とものづくりスタジオFREMENTを立ち上げ、運営している。

福島祝いの膳プロジェクト いわきフォーラム
2014年、2015年と行ってきた、いわき市での伝統食・水産業、食の現状に関するリサーチ結果をもとに、いわき地域の食文化の多様性、海の恵みについて知り、福島の食文化再興に向けて意見を交わすためのフォーラムをいわき市内2カ所で二日間にわたって開催しました。講師は中山晴奈氏と、中山氏がいわきのリサーチで関わることとなった多様な方々、漁師・猟師の写真で知られる写真家の田附勝氏。
食べることは命をいただくこと。だからこそ祈りに通じ、目には見えない何者かとつながる行為でもあります。数値で食の安全が測られている今、食べることとはどういうことか、信頼するとはどういうことか、食の本質にせまる対話がなされました。

車座トーク「いわき食べものがたり」

日時:2016年7月8日(金) 17:00~19:30
会場:四家酒造
内容・講師:
クロストーク1「いわきの食、いまむかし」
中山晴奈(フードアーティスト)、有賀行秀(北関東空調工業株式会社代表取締役)、
四家久央(四家酒造店代表社員)、阿部峻久(NPO法人Wunder Ground)
クロストーク2「いわきの魚食、東北の魚食」
中山晴奈、小松理虔(ライター/いわき海洋調べ隊「海ラボ」研究員)、田附勝(写真家)
車座トーク「いわき食べものがたり」

クロストーク「潮目の血」

日時:2016年7月9日(土) 14:00~17:00
会場:UDOK.
内容・講師:
トーク1「三陸~いわき海と食の復権」中山晴奈
トーク2「うみラボから分かること」小松理虔
トーク3「写真集『魚人』『おわり。』の世界~漁と猟~」田附勝
クロストーク「潮目の血」中山晴奈×小松理虔×田附勝

主催:はま・なか・あいづ文化連携プロジェクト実行委員会

学ぶ・知る・創造するプログラム
夢の学び舎 いわき学校プロジェクト

豊間ことばの学校「海のうた」をつくろう
いわき市立豊間小学校は校舎から海が見える海辺の学校。校舎は難をまぬがれましたが、周辺地域は津波の被害に見舞われました。震災後、小学校は支援の受け入れの拠点となり、慌ただしい日々が続きました。こどもたちの学力低下を心配した先生方と相談し、始められたのが豊間ことばの学校です。自分の感情や思考を「ことば」にして伝える力、相手の「ことば」を受け取る力、「ことば」によって他者と思いを共有する力がすべての基礎になると考え、2014年度から「ことば」の力を身につけるワークショップを行ってきました。多様なジャンルの表現者を講師に迎え、「ことば」で表現すること、創造することの喜び・楽しみをこどもたちと分かち合い、「ことば」の力を引き出していきました。
3年目となる2016年は、歌手・女優・声優の玉井夕海氏を講師に招き、「海のうた」をつくるワークショップを行いました。津波被害を想起させる海をテーマとすることに不安もありましたが、こどもたちはそれにもまして海が大好き。その思いを「絵」「ことば」「音楽」で形にし、共有することを目指しました。
第1回は自分の中の海を描くワークショップ。最初は通り一遍の海を描いたこどもたちも、玉井氏の歌を聴くうちに解放され、それぞれの海を描き出しました。赤い海、生き物たちの海。そこには多様な海がありました。第2回は、初回に描いた絵を見ながら、自分にとっての海を「ことば」にしてゆきます。わかりやすい単語が羅列されていく中から、玉井氏は丁寧にそこに込められた思いを紐解いていきました。第3回は玉井氏がこどもたちの「ことば」を受けて作成した歌詞を吟味し、リズムに合わせて合唱・合奏。コール&レスポンスのジャンガラ調ロックンロール。こどもたちと玉井氏の対話から「海のうた」が生まれました。
海を視界から消し去るような防潮堤の造成が進む豊間地区。それでも、こどもたちは海が好きで、大人たちの想像をはるかに越えてゆきます。

形式:ワークショップ
アーティスト:玉井夕海

玉井夕海
東京都生まれ。女優/歌手。
女優業を務めながら、ソロピアノ・アコーディオンによる弾き語りを始め、演劇の現場やアートプロジェクトで、即興演奏や作曲、音楽ワークショップを行っている。2013年よりパフォーマンス集団渋さ知らずオーケストラでヴォーカルを担当。

第1回 みんなの「海」を描く。絵とことばで表わす「海」

日時:2016年9月14日(水) 14:30~16:00

第2回 みんなの「海」を書く。絵とことばで表わす「海」

日時:2016年9月21日(水) 14:30~16:00

第3回 みんなの「海」でうたをつくる

日時:2016年9月28日(水) 14:30~16:00

好間土曜学校「いのちの物語」をつくろう
いわき市には東京電力福島第一原子力発電所事故から避難した人々が多く移り住んでおり、いわき市立好間第一小学校の学区にも複数の仮設住宅があります。避難してきたこどもたちと受け入れ地域のこどもたちが、自然に仲良くなる場をつくりたいという小学校の課題に応えて実施されたのが「好間土曜学校」でした。2014年から2016年まで、土曜日に開かれる体験型の学校のテーマは「自然の素晴らしさ」「命の尊さ」。参加したアーティストそれぞれの表現手法で、テーマを学び創造を楽しむ授業を行いました。
2016年度の講師は美術家の中津川浩章氏。中津川氏はこうせねばならないという枠組みを取り払って関係を築き、こどもたちは体全体を自由に使って「いのちの物語」を作り上げました。第1回は、大きな画面に鉛筆で、体中を使って音に合わせて線を描いていくことの楽しさを体感しました。こどもたちのエネルギーが爆発した瞬間でした。第2回は絵の具を使って体感するワークショップ。絵の具の色彩、どろどろ・ぬるぬるした感触を存分に楽しみました。第3回は前回の画面をびりびりに引き裂き、こどもたちの思い描くいのちのかたちを貼り絵にしていきました。人のかたち、動物や植物のかたち、中央には二つの福島県のかたち。細部には思いもかけない独創的な造形が現れました。
体全体で素材の感触、線を引くこと色を置くこと、音と一体となることを体験したこどもたち。こどもたちの爆発的なエネルギーは「いのちの物語」そのものでした。この体験は、彼らがこれから紡いでいく物語の通底音として響いていくことでしょう。

形式:ワークショップ
アーティスト:中津川浩章

中津川浩章
静岡県生まれ。美術家/画家。
記憶・痕跡・欠損をテーマにブルーバイオレットの線描を主体としたドローイング・ペインティング作品を制作。障害者のためのアートスタジオディレクション、アールブリュットの展覧会キュレーション、ワークショップ、講演など、アート、福祉、教育とさまざなまな分野で社会とアートの関係性を問い直す活動を行っている。

第1回 音に合わせて線を描こう

日時:2016年7月2日(土) 10:00~11:30

第2回 大きな絵を描こう

日時:2016年7月9日(土) 10:00~11:30

第3回 「いのちの物語」をつくろう

日時:2016年7月16日(土) 10:00~11:30

学ぶ・知る・創造するプログラム
夢の学び舎 なみえ学校プロジェクト

東京電力福島第一原子力発電所事故により浪江町は役場機能を福島県二本松市に移しました。それにともない二本松市内に二つの浪江町立の小学校が仮校舎を開校。避難から5年が過ぎ、在校児童の多くがリアルな故郷の記憶をなくしつつあります。そんな中、二つの小学校では、故郷・浪江町について子どもたちが学ぶ「ふるさとなみえ科」を開設。避難している町の方々から聞いたり、調べたりしながら浪江町を学ぶことをはじめました。授業で生まれた成果は、そのまま浪江町を伝える大事な資料。そこでそれらを展示する「博物館」を校内に設け、子どもたちが学芸員として展示や解説を行う構想が生まれ、本プロジェクトが協働することとなりました。
福島県立博物館学芸員から「博物館と学芸員」について学び、後日、実際に福島県立博物館を見学。展示室やバックヤードの見学で展示の手法、資料の保存方法などを学びました。みんなで名称を考えた「ふるさとまるごとなみえ博物館」の看板はワークショップで作成。個性あふれる看板となり校内2階のフリースペースを活用した博物館に設置されました。「ふるさとなみえ科」で行った浪江町と避難先である二本松市の文化の調査は、手書きの解説パネルとしてまとめられました。パネルを前に説明する姿は学芸員そのもの。「子ども学芸員」の腕章も誇らしげな成果発表会では、「浪江町のことを知りたい」「浪江町と避難先の二本松市を繋げたい」という言葉が印象的でした。
主な活動時期となった二学期、活動を記録し伝えるための撮影を映像作家の赤間政昭氏に依頼しました。二本松市内の仮校舎での子どもたちの日々の表情。町のこと、自分たちの将来を真剣に考える姿。両校の校長先生に案内いただき伺った浪江町の本校。人がいなくなった5年間が澱のように重なっている校舎内。残されたままの2011年3月の避難当時の足跡。子どもたちが故郷の記憶を持ち得なくなっている背景を伝えるために、そして2011年に起きた事実を忘れずに伝えていくために、8人の子どもたちが日々暮らす仮校舎と浪江町内の本校の映像をあわせて編集し、映像作品としました。赤間さんのあたたかい眼差しそのもののような映像が、静かに私たちに問いかけてくる作品となりました。

ワークショップ「浪江小学校・津島小学校の博物館の看板を作ろう」

第1回 日時:2016年7月12日(火)12:05~12:45
第2回 日時:2016年8月31日(水)10:30~12:00
講師:川延安直・小林めぐみ・塚本麻衣子(福島県立博物館学芸員)

成果発表会

日時:2017年2月21日(火)12:30~14:00
主催:浪江町立浪江小学校、浪江町立津島小学校
協力:はま・なか・あいづ文化連携プロジェクト実行委員会

映像作品《ふるさとなみえ科8人の二学期》

アーティスト:赤間政昭

赤間政昭
福島県生まれ。映像作家。
日立製作所、リコー、アサヒPENTAX等の広告・カタログ制作、SONYのWEB制作に従事。2002年からフリーランス。日本産業広告賞(新聞部門)、日経産業新聞広告賞、日経サイエンス広告賞等受賞。Uターン後は、福島県内で行われているいくつかのアートプロジェクトに参加。

震災後の福島を記録し発信するプログラム
岡部昌生フロッタージュプロジェクト

岡部昌生フロッタージュプロジェクトは2012年から継続。南相馬市博物館、地域の方々の協力を得て津波被害の生々しかった南相馬市、浪江町沿岸部では、住宅地に漂着したテトラポッド、破断した防潮堤、倒壊した耕地整理碑など津波の痕跡を刻む遺構から制作しました。以後、制作対象は東京電力福島第一原発事故とそこにつながる福島の歴史に向かいました。2016年度は飯舘村を主なフィールドに除染作業で伐採されたイグネ(屋敷林)、伐採されず残され被曝し続ける樹木の連作を制作しました。樹木の所有者の方たちとの対話からは飯舘村の戦後史が浮かび上がりました。制作された作品は、成果展の他、あいちトリエンナーレ2016等でも公開され、名古屋・広島・東京などで福島の現状を広く発信しました。長岡市、松本市での成果展では岡部昌生氏のトークイベントを開催。開催地内外の全国から参加者があり、本プロジェクトの広がりを実感しました。

形式:調査・制作
アーティスト:岡部昌生

岡部昌生
北海道生まれ。美術家。
都市に内在する不可視の記憶や歴史の痕跡を写し取るため1977年よりフロッタージュ(擦り出し)を用いて表現を始める。1980年代後半より広島の原爆の痕跡を作品化するプロジェクトを開始。現在も継続的に広島や福島といった都市に関わる。国内外の各都市で制作・展覧会・ワークショップを展開。

震災後の福島を記録し発信するプログラム
福島写真美術館プロジェクト

2011年の東日本大震災は、映像テクノロジーの発達により無数の映像が記録された史上初の災害でした。報道関係者による発災直後の迅速な行動は多くの貴重な映像を残しました。また、写真家による表現も優れた仕事が多く残されました。震災から6年を経てなお、福島で進行する原発事故への対応はいまだに終わりが見えません。このような状況に向き合う写真家の真摯な行動は、取材地域の人々を勇気付けてもいます。

土田ヒロミ氏は2011年から福島に通い定点観測で風景を撮り続けています。当初は原発事故後も変わらぬ里山の風景を記録していましたが、今も進む大規模な除染作業により次第にその風景は変貌を始めました。壊れゆく風景を見つめる写真家の目は福島の現状を切り取り続けています。丹念な取材によって集積された情報に基づき、撮影ポイントをめぐるツアーを実施。一般の被災地ツアーとは異なる視点は参加者の高い満足を得て、福島の現状を発信しました。

奥会津と呼ばれる山間地に位置する三島町に通い、地域の住民と交流を重ねながらそこで営まれている暮らしを取材。不便な限界集落とされる地域での自然に寄りそう暮らしは、実は魅力に溢れるものであることを伝えています。原発事故の被害は、それによって何が失われるかを知ることから考えねばなりません。赤阪友昭氏は、決して失ってはならないものは何かを問いかけています。

本郷毅史氏は震災前から河川の源流域を探り撮影する活動を続けています。活動は同じでも、原発事故前と事故後では、本郷氏の作品が持つ意味は大きく変化しました。命の源である水もまた決して汚してはならないもの。ひたすら源流に遡上する撮影行は求道的ですらあります。水というテーマは誰しもの共感を得るもので、各地での成果展でも反響を呼びました。

須賀川市は福島県のほぼ中央部、阿武隈川流域に位置します。原始・古代からの遺跡が多く、歴史の厚い層を重ねた地域です。村越としや氏は、風景に秘められた気配を捉える作品を多く制作しており、本事業では、須賀川市文化振興課の管野和博氏と協働し市内の遺跡を撮影しました。学術資料的写真とは異なるアプローチで土地の気配を写し取る手法と埋蔵文化財の調査データが近づくことで両者の視野が広がります。

サイアノタイプの写真による表現を続けている写真家・千葉奈穂子氏は、東日本大震災後、南相馬市鹿島区で滞在制作を繰り返しています。滞在先の農家民宿を拠点に周辺地域を丹念に歩き、地域の方々の話に耳を傾ける事から始まる制作は、災害の大きさから見落としてしまう小さな息遣いをすくい取ります。本年度はこれまでの滞在で積み重ねた制作を基に震災後の南相馬の一断面を映像にまとめました。

形式:調査・制作・ツアー
アーティスト:土田ヒロミ
福井県生まれ。写真家。
1970年頃より写真表現を目指し、日本の土俗、高度消費経済、大量消費経済の経緯を写真ドキュメントという手法で日本人論的思考から捉えようとしている。主な作品に、1970年代『俗神』、1980年代『砂を数える』、2000年代『新・砂を数える』がある。また、広島の原爆による被爆がもたらした今日的意味を、1970年代から現在まで継続して問いかけた『ヒロシマ』3部作で表現。「フクシマ」に取材した作品はその「ヒロシマ」と対をなす作業。被爆と被曝、その惨事の今日的意味を問うドキュメント作業を続けている。

形式:調査・制作
アーティスト:赤阪友昭
大阪府生まれ。写真家。
1996年、モンゴルでの遊牧民生活及びアラスカ先住民の村での暮らしから撮影をはじめる。テーマは「継ぐべき命」。日本各地に残された山や森の原初の信仰や祭祀を被写体とした撮影と取材を続けている。

形式:調査・制作・トーク
アーティスト:本郷毅史
静岡県生まれ。写真家。
1999年から2002年にかけて、喜望峰から日本まで自転車で旅をする。3年5カ月かけて40カ国、4万5千キロを走る。現在は「水源」をテーマに写真と映像を撮影している。

形式:調査・制作・トーク
アーティスト:村越としや
福島県須賀川市生まれ。写真家。
2003年、日本写真芸術専門学校卒業。2011年、日本写真協会賞新人賞受賞。2009年、東京・清澄白河に自主ギャラリー「TAP」を設立。個展・グループ展多数。

形式:調査・制作
アーティスト:千葉奈穂子
岩手県生まれ。写真家。
大学で絵画を学んだ後、写真古典技法の一つであるサイアノタイプを独学で習得し、日本の和紙にプリントする手法で制作している。岩手にある家族の家を生涯撮影する作品『父の家』をはじめ、土地の歴史や民俗資料を取材し、社会的背景や風土の中に私たちの存在を問う作品を展開し、発表している。

福島写真美術館プロジェクト成果展+PLUS新発田
本プロジェクト参加作家の土田ヒロミ、赤阪友昭、本郷毅史、村越としや各氏に加え、写真表現を用いている地域の民俗の記憶プロジェクトの高杉記子氏、飯舘村の記憶と記録プロジェクトの岩根愛氏、南相馬環境記録プロジェクト(2013・2014年度)の片桐功敦氏の作品によって構成した県外での成果展。
会場は新潟県新発田市の金升酒造の蔵を提供していただきました。本来、展示に適応した空間ではありませんが、木の温かみのある空間は複数の作家の作品を穏やかに包み込み、はま・なか・あいづ文化連携プロジェクトの世界観を表すことができました。
会期中、参加作家の片桐功敦・本郷毅史両氏、写真家・著述家の港千尋氏と原亜由美氏(写真の町シバタ・プロジェクト実行委員会実行委員)、写真評論家の飯沢耕太郎氏と村越としや氏の3組がトークイベントを行いました。
会場交渉から広報、展示・撤収作業、トークイベントへの参加まで、多方面にわたって写真の町シバタ・プロジェクト実行委員会の方々にご協力いただきました。他プロジェクトとの共催は、今後の地域間連携の可能性を示しました。

会期:2016年10月19日(水)~11月4日(金)
会場:金升酒造 二號蔵ギャラリー
協力:敬和学園大学
共催:写真の町シバタ・プロジェクト実行委員会
主催:はま・なか・あいづ文化連携プロジェクト実行委員会

オープニングイベントトークセッション「写真家の見た福島」

日時:2016年10月18日(火) 18:00~19:30
会場:金升酒造 蔵カフェ
講師:片桐功敦(華道家)、本郷毅史(写真家)

トークイベント「写真の力と土地の記憶」

日時:2016年10月26日(水) 19:00~20:30
会場:金升酒造 蔵カフェ
講師:飯沢耕太郎(写真評論家)、村越としや(写真家)

トークイベント「写真と記憶 シバタ・フクシマ」

日時:2016年11月2日(水) 19:00~20:30
会場:金升酒造 蔵カフェ
講師:港千尋(写真家/著述家)、原亜由美(写真の町シバタ・プロジェクト実行委員会実行委員)

ギャラリートーク

日時:2016年11月3日(木・祝) 11:00~12:00、15:00~17:00
会場:金升酒造 二號蔵ギャラリー
講師:小林めぐみ(福島県立博物館学芸員)

福島写真美術館プロジェクト成果展「須賀川 大地に眠る記憶~写真家・村越としやが見た須賀川の古代」
担当作家の写真家・村越としや氏は須賀川市出身。東京に活動拠点を置く現在も実家のある須賀川市にたびたび戻り撮影を続けています。土地に眠る古層の記憶を引き出す視線が彼の作品の持ち味です。本年度は須賀川市文化スポーツ部文化振興課文化財係の管野和博氏と連携、協働し須賀川市内の遺跡をテーマに調査・撮影しました。作品制作の過程では埋蔵文化財の専門家と写真家の対話が交わされ、そのことで埋蔵文化財の発信手法の検討、遺跡の価値の掘り下げが進みました。震災・原発事故からの復興には、地域のプライドの復権が欠かせません。その基本となるのは地域の歴史と文化です。文化財の専門家が写真家の美的視点を学び、写真家は自らの視点を学術的情報によって広げます。学術と芸術の融合の試みでしたが、成果展のトークイベントには考古学に関心のある一般の方に加え、行政関係者、写真家の姿が多く見られ関心の高さがうかがえました。今後の展開が期待できます。

会期:2017年1月12日(木)~1月29日(日)
会場:牡丹会館
主催:須賀川市、はま・なか・あいづ文化連携プロジェクト実行委員会

トークイベント「遺跡の調査と発信~写真家の眼から~」

日時:2017年1月29日(日) 13:30~15:00
会場:牡丹会館
講師:村越としや(写真家)、菅野和博(須賀川市文化振興課学芸員)

震災後の福島を記録し発信するプログラム
黒塚発信プロジェクト

福島県二本松市の安達ヶ原に伝わる鬼婆伝説は、京の都からみちのくへ公家の娘の病を治すために赤子の生き肝を取りに来た乳母が鬼婆と化す物語。地方と都市、供給と消費の関係からは東京電力福島第一原子力発電所事故へ繋がる東北への眼差しを感じさせます。
2014年度・2015年度・2016年度と展開してきた本プロジェクトは、安達ヶ原の鬼婆伝説を震災後の福島の視点で解釈し身体表現として映像記録に残し、その過程を、トークイベント、公演などで公開するもの。平山素子氏・大野慶人氏に続き、本年度は舘形比呂一氏のパフォーマンス公演を開催、映像を記録編集しました。
公演は二本松市の安達ヶ原ふるさと村に移築された古民家を舞台に開催。かつて養蚕を営んでいた民家は二階建ての重厚なもので、ダイナミックな舞踊が行われました。これまで見学のみの利用だった古民家の魅力を引き出したことも大きな成果でした。本プロジェクト実行委員会実行委員でもある福島大学渡邊晃一教授が運営する福島現代美術ビエンナーレ実行委員会、二本松市の協力を得ることができ、多くの観覧者がありました。
三部作となった映像は、今後、福島、東北の現状と未来を共有する上映会、トークイベント等で活用されます。

形式:公演
アーティスト:渡邊晃一
ゲストアーティスト:舘形比呂一、増山和信

渡邊晃一
北海道生まれ。美術家/福島大学教授/福島大学芸術による地域創造研究所所長。
絵画・現代美術を中心に活動。国内外の企画展多数に参加。福島現代美術ビエンナーレ企画監修。ダンス作品とのコラボレーションに『大野一雄 疾走する肌膚』(川口現代美術館スタジオ)、『平山素子 Life Casting』(新国立劇場)など。

舘形比呂一
東京都生まれ。舞踏家/振付家/俳優。
1985年以降、ジャンルを問わず舞台や映画で活躍。1994年からTHE CONVOYのメンバー。1998年からは、THE CONVOY以外の舞台にも活動を広げ、出演作の振付なども担当している。

増山和信
映像監督。
ダンスや舞踏舞台を対象とした映像監督として活躍。主な作品に、「NEO BALLET X NIJINSKY・千夜一夜 夢のプリンシパル・ガラ」(2009年構成・演出・振付/西島千博バレエ・リュス100周年記念)、「蛇屋横丁」(2010年、演出・竹邑類、主演・舘形比呂一)

公演「KUROZUKA 闇の光」

日時:2016年9月9日(金)、10日(土) 18:30~19:30
会場:安達ヶ原ふるさと村 農村生活館
協力:二本松市、二本松市振興公社、福島現代美術ビエンナーレ実行委員会
主催:はま・なか・あいづ文化連携プロジェクト実行委員会

映像作品≪KUROZUKA 闇の光≫

主演:舘形比呂一(舞踏家/振付家/俳優)
映像監督:増山和信
企画・美術:渡邊晃一

福島交流・発信プログラム

成果展 アートで伝える考える福島の今、未来 in NAGAOKA
2016年度最初の成果展は、新潟県長岡市の長岡造形大学で開催しました。新潟県中越地震を経験し、東京電力柏崎刈羽原子力発電所が近隣に立地、震災後、福島県からも多くの避難者が向かった長岡市での開催を、本プロジェクトは以前から希望していました。同大学小林花子准教授の協力を得て学生とも協働して展示作業を行い美術系大学らしい質の高い展示となりました。トークイベントには学生に加え一般の方も参加し活発な質疑が行われました。撤収作業の際に福島県浪江町から避難した学生と出会えたことも印象に残りました。

会期:2016年5月23日(月)~5月29日(日)
会場:長岡造形大学 1F ギャラリー
協力:Hibari-sya(雲雀舎)
主催:長岡造形大学小林花子研究室、はま・なか・あいづ文化連携プロジェクト実行委員会

ギャラリートーク「アートで伝える考える福島の今、未来」

日時:2016年5月26日(木) 18:00~
会場:長岡造形大学1Fギャラリー
講師:岡部昌生(美術家)、川延安直(福島県立博物館学芸員)

成果展 アートで伝える考える福島の今、未来 in ASHIKAGA
栃木県足利市では足利市立美術館学芸員の協力のもと足利商工会議所友愛会館を会場に開催。展示スペースに合わせ岡部昌生フロッタージュプロジェクト、福島写真美術館プロジェクト「南相馬環境記録プロジェクト」から主に南相馬市の状況を伝える作品を展示しました。
足利市は渡良瀬川流域、足尾銅山の下流に位置します。足尾鉱毒事件から福島が学ぶことは多く、トークイベントでは田中正造の活動を中心に対話が行われました。

会期:2016年9月6日(火)~9月14日(水)
会場:足利商工会議所友愛会館 1F ギャラリー・カッサ、市民ギャラリー
協力:足利商工会議所、足利市立美術館
主催:はま・なか・あいづ文化連携プロジェクト実行委員会

トークイベント「足尾の記憶・福島の未来」

日時:2016年9月10日(土) 14:00~16:00
会場:足利商工会議所友愛会館 4F 会員サロン
講師:川島健二(民俗学研究者、群馬県邑楽町文化財保護調査委員)、皆川俊平(WATARASE Art Project代表)、篠原誠司(足利市立美術館学芸員)

ギャラリートーク

日時:2016年9月11日(日) 11:00~12:00
会場:足利商工会議所友愛会館 1F ギャラリー・カッサ、市民ギャラリー
講師:小林めぐみ(福島県立博物館学芸員)

成果展 アートで伝える考える福島の今、未来 in MATSUMOTO
松本市街地のアートスペースawai art center、長野県大町市在住の本プロジェクト参加作家・本郷毅史氏、信州大学分藤大翼准教授らの協力により松本市内4ヶ所で開催。小規模な会場での分散開催となりましたが、アートスペース、蔵、大学図書館という、それぞれの会場の特性を活かした展示となりました。クロストークには松本・長野と福島をつなぐ参加作家が登壇し、課題・成果を共有する場となりました。また、awai art center、信州大学の協力を得て若い世代にも運営に関わっていただけたことは大きな成果でした。

会期:2016年12月7日(水)~12月23日(金・祝)
中町・蔵シック館は12月7日(水)~12月16日(金)
会場:awai art center、中町・蔵シック館、池上邸・蔵、信州大学附属図書館中央図書館
協力:awai art center、信州大学附属図書館中央図書館
主催:はま・なか・あいづ文化連携プロジェクト実行委員会

クロストーク「岡部昌生フロッタージュプロジェクト 記憶と記録」

日時:2016年12月6日(火) 18:00~19:30
会場:awai art center
講師:岡部昌生(美術家)、港千尋(写真家/著述家)

クロストーク「間(あわい)としてのふくしま」

日時:2016年12月23日(金・祝) 15:30~18:00
会場:池上邸・蔵
講師:本郷毅史(写真家)、玉井夕海(女優/歌手)、茂原奈保子(awai art center代表)、分藤大翼(信州大学准教授)
モデレーター:川延安直(福島県立博物館学芸員)

ギャラリートーク

日時:2016年12月7日(水) 10:30~12:00、14:30~15:00
会場:中町・蔵シック館、池上邸・蔵、awai art center、信州大学附属図書館中央図書館
講師:岡部昌生(美術家)、本郷毅史(写真家)、川延安直・小林めぐみ・塚本麻衣子(福島県立博物館学芸員)

成果展 アートで伝える考える福島の今、未来 in TSUNAGI
本展は水俣市の北隣にある津奈木町のつなぎ美術館を会場に開催しました。同館は津奈木町が取り組んだ文化芸術による水俣病からの再生の一環として設立され、地域資源を活用した住民参加型アートプロジェクトを実施しています。2回実施したトークイベントにも多くの来場者があり、関心の高さを実感できました。原発事故による放射能汚染のただ中にある福島にとって水俣は学びの地であり、多くの課題・目標を持ち帰ることとなりましたた。熊本地震の発生により開催を危ぶむ時期もありましたが、被災地だからこそ実施すべき意義のある成果展となりました。

会期:2017年1月21日(土)~2月19日(日)
会場:つなぎ美術館
共催:つなぎ美術館
主催:はま・なか・あいづ文化連携プロジェクト実行委員会

トークイベント「水俣に学ぶ・福島を伝える」

日時:2017年1月21日(土)
会場:つなぎ美術館
講師:吉本哲郎(地元学ネットワーク主宰)、緒方正人(漁師)
モデレーター:川延安直(福島県立博物館学芸員)

トークイベント「つなぐ未来―熊本・福島―」

日時:2017年2月12日(日) 13:30~16:30
会場:つなぎ美術館
第1部「つなぎでつなぐ熊本・福島」
講師:玉井夕海(女優/歌手)
聞き手:楠本智郎(つなぎ美術館学芸員)
第2部「もやいとまでい 水俣・福島からの未来」
講師:田口ランディ(小説家/エッセイスト)
聞き手:赤坂憲雄(福島県立博物館長/はま・なか・あいづ文化連携プロジェクト実行委員会委員長)

成果展 アートで伝える考える福島の今、未来 at Fukushima Museum
2016年度最後の成果展は、はま・なか・あいづ文化連携プロジェクト実行委員会の事務局を務める福島県立博物館の企画展示室で行いました。6年目の3月11日を迎えるにあたり、あらためてこの6年間に福島で起きたことを振り返り、東日本大震災からの教訓、東京電力福島第一原子力発電所事故が福島にもたらしたことの共有を試みました。展示は、同じく福島県立博物館が事務局となり実施している「ふくしま震災遺産保全プロジェクト」と同時開催。震災や原発事故を直接伝える資料との連動は、作家の視点と創造で震災と事故を伝える作品たちと共鳴し、伝える力をより大きくしていたように思います。

会期:第1会場 2017年2月4日(土)~4月11日(火)
   第2会場 2017年2月11日(土・祝)~4月11日(火)
会場:福島県立博物館
主催:はま・なか・あいづ文化連携プロジェクト実行委員会

トークセッション「アートでつなぐはま・なか・あいづ 震災とアート、そして対話」

日時:2017年2月23日(木)13:30~15:00
会場:福島県立博物館講堂
講師:赤坂憲雄(福島県立博物館長/はま・なか・あいづ文化連携プロジェクト実行委員会委員長)、川延安直(福島県立博物館学芸員)

ギャラリートーク

日時:2017年2月26日(日)、3月26日(日) 各13:30~14:30
会場:福島県立博物館展示室
講師:川延安直・小林めぐみ・塚本麻衣子(福島県立博物館学芸員)