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アートで伝える考える 福島の今、未来 in ASHIKAGA

成果展、今年度第2弾を足利市で開催しました。

アートで伝える考える 福島の今、未来 in ASHIKAGA
会期:9月6日(火)~9月14日(水)
会場:足利商工会議所1階 ギャラリーカッサ、市民ギャラリー

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今回の成果展では、はま・なか・あいづ文化連携プロジェクトが実施しているプロジェクトのうち、「岡部昌生フロッタージュプロジェクト」「福島写真美術館プロジェクト―南相馬環境記録プロジェクト」で制作された作品を展示しました。

フロッタージュの技法で都市、地域、近代の記憶の記録に取り組むアーティスト・岡部昌生さん。2012年、津波被害と原発事故の大きな被害を受けた南相馬市からプロジェクトを展開。その後、飯舘村・大熊町など原発事故の被害を強く受けた地域にプロジェクトは展開しています。今回はその中から、出発点となった南相馬市での作品を展示しました。
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土間に刻まれた擦過痕
テトラポッドに付着するフジツボの死骸
耕地整理の碑
津波被害の大きかった沿岸部は、もともとは広大な湿地帯でした。そこを干拓して耕地となし、人々は暮らしてきました。津波によってその地はもう一度人の手から奪われ、海にもどりつつありましたが、現在ではまた排水が行われ、人の利用する土地として整備が進められています。
自然をつくり変え、利用してきた人間の歴史。それを無に帰す自然の力。岡部さんの作品は双方の痕跡を写し取ります。

花道みささぎ流家元の片桐功敦さんは、2013・2014年に本プロジェクトに参加。南相馬氏に長期滞在をし、亡くなった命に捧げる花を撮影しました。
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廃墟となってしまった建物、そこに取り残された長靴や車に、野で摘んだ花が、
南相馬の縄文土器に食すことの許されない稲穂が、津波によって再生した花が活けられています。
鎮魂、悲しみ、怒り。
それらを引き受けてなお、草花は静かにそこにあります。

9月10日(土)にトークイベント、11日(日)にギャラリートークを行いました。
トークイベントは「足尾の記憶・福島の未来」と題し、
川島健二さん(民俗学研究者・群馬県邑楽町文化材保護調査委員)、皆川俊平さん(WATARASE Art Project代表)、篠原誠司さん(足利市立美術館学芸員)にご登壇いただきました。
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川島さんは、足尾銅山鉱毒事件に際しての田中正造の発言や行動を丹念に追い、田中正造の思想がその土地に移り住んだことによって生成されてきたことをお話くださいました。
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皆川さんからは、WATARASE Art Projectの考え方や、取り組みについてお話いただきました。
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元鉱夫たちの住宅群を展示会場にする活動では、アーティストがそれぞれに地域と関わり作品を制作し、部屋という内密な空間・体験からかすかに足尾のことが見えてくるといいます。アーティストは境界をゆるがし、触れてはいけないことにさらっと触れる存在。
「地域のため」の活動ではないと言い切る皆川さんに潔さを感じました。

近現代のエネルギー開発と、それによる自然の破壊、村の破壊の歴史。そこに人々はいかに関わってきたのか。
足尾の歴史を繰り返してしまった福島。
語り合い、学ぶことは多く、この場を足利市・足尾の方と共有できたことは、はま・なか・あいづ文化連携プロジェクトにとってとても大切な出来事でした。

11日のギャラリートークにも、多くの方に来場していただきました。
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作品のもつ強さが、見る人それぞれの心に根をおろし、何らかのきっかけとなる。
そう願い、展示の解説はひかえめに作られています。
それは時にわかりにくさになってしまうかもしれません。
このようなギャラリートークによって、少しずつ互いの理解を深めていくことができたら幸いです。

今回の成果展では、
これまで、はな・なか・あいづ文化連携プロジェクトの活動を通してつながりをもった方々が
展示を手伝いに来てくださったり、教え子に紹介してくださったりしました。
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このような人と人とのつながりが、本プロジェクトの財産です。
今回の展示を見に来てくださったみなさま、ご協力いただいたみなさま、
本当にありがとうございました。

2016.10.04