Blog

ワークショップ+トークイベント「福島祝いの膳 土地の恵み、人の知恵」

9月17日(日)、成果展が行われている郡山女子大学で、ワークショップとトークイベントを開催しました。

DSC_0084

今回の成果展では、会場となる郡山女子大学様との協働が様々な形で実現されました。
その一つが、中山晴奈さんをお招きしての、福島の多様な食文化に関するワークショップとトークイベントです。

郡山女子大学には、福島県内の食文化を伝える食具のコレクションがあります。
夏頃、それらを整理し、どのように活用するかを学生さんたちと一緒に考えるところからスタートしました。
成果展では、食具の一部を中山さんアレンジで展示しました。

DSC_0010
DSC_0022
DSC_0035

その器たちは、どのような場面で使われ、どのような料理が盛りつけられたのか。
それを体験するワークショップが行われました。

DSC_0019

きのこごはん、八杯汁、切り昆布煮、カレイの煮付けが本日の献立。
3班に分かれて、それぞれ同じ献立を作ります。
八杯汁はお盆や法事などで作られる汁物。名前の由来は8人分だとか、美味しくて8杯食べられるからだとか、様々です。全ての具材を細切りにするのが特徴で、お豆腐も拍子切りにします。
面白いことに、福島以外にも各地にあるのですが、それぞれ自分の所にしかないと思っているらしいということを、中山さんから教わりました。
切り昆布は、浜通りで加工されていますが、主に食されているのは中通りです。原材料は北海道からもたらされ、すばやく美味しく食べられるように絶妙にブレンドされているとのこと。
食には流通の面白さや、技術の妙が凝縮されています。

今回のワークショップで、中山さんは調味料の量を指定しませんでした。中山さんのお話と、これまでの経験から、それぞれの班で味付けをします。
想像力が試されます。
これには郡山女子大学の食物栄養学科の先生も「面白い!」と、興味津々です。

DSC_0104
DSC_0105

できあがったものは、3班でそれぞれ見事に違うものになりました。
具材の切り方が大きいもの、小さいもの、汁気が多いもの、少ないもの。
提示された材料から、何を想像し、何を実現するか。とても面白い実験となりました。

DSC_0055

カレイの煮付け担当は、考古学がご専門の會田先生。
エプロン姿が異常に似合います。
とてもきめ細やかに、煮付けを仕上げていただきました。

こうした料理の他に、「せっかく女子大なのだから」ということで、中山さん考案のスイーツが作られました。
テーマは、山・海・石・苗・空。
素材は色々。それを盛りつけて名前を付けることで、ココアケーキが土になり、寒天が海になります。
「見立て」という想像力の力が、そこにはあります。

DSC_0044
DSC_0100

さて、いよいよお待ちかねの実食です。
博物館からお持ちした様々な漆器を、学生のみなさんに自分で選らんでもらい、そこに盛りつけてもらいました。
「わあーきれい!」「凄い!!触っていいんですか?」と楽しそうに器を選んでいただきました。

DSC_0050
DSC_0053
DSC_0118
DSC_0119
DSC_0124

普段、本物の漆の器で食べることは少なくなってきていますが、このワークショップで漆器のお膳で食べる晴れやかさを体験してもらえたのではないでしょうか。

調理の合間には、思い出の食事についてみなさんにお聞きしました。

DSC_0047
DSC_0062

ほのぼのしたものから、強烈なものまで、みなさんの食体験は様々です。
食は鮮明な記憶となります。その味や香りによって、記憶がふっとよみがえります。
その時、そこには誰がいたのか、どんな場面だったか、どんな気持ちだったか。
みなさん、とても楽しそうに語っていただきました。これが食の力なのだと、改めて感じた瞬間でした。

ワークショップの後は、民俗学者の野澤先生と中山さんのトークです。

DSC_0132
DSC_0135

はま・なか・あいづ、それぞれの土地に根ざした食文化についてお話しいただきました。
それぞれの土地の季候や風土によって、いかに食は多様であることか。
スーパーやコンビニに行けば、全国で同じ食べ物が手に入りますが、そのことによって見失わされているものがあるのではないか。
思い出の食事に見られるように、その記憶は実に私的であり、かつその時一緒にいた人との共有体験でもあります。
地域の伝統食であれば、それはその地域の共通の体験であり、かつそこに生きた人の個別の体験でもあります。

食という最も身近な、身体的な体験だからこそ、そこにはその土地々々の根のようなものが感じられます。
私たちの体を育み、生かす食。
共同体を育む食。
多様な食のあり方が、文化そのものであると感じたトークイベントでした。

2017.09.22