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福島祝いの膳プロジェクト いわきフォーラム 1日目「いわき食べものがたり」

2016年7月8日(金)、9日(土)

福島祝いの膳プロジェクト
フードアーティスト中山晴奈さんによる、いわきの伝統食・水産業のリサーチ結果をもとに、いわきの食文化の多様性・海の恵みについて知り、福島の食の現状と復興を語り合うフォーラムが2日間にわたって開催されました。

7月8日(金) 車座トーク「いわき食べものがたり」 @四家酒造
7月9日(土) クロストーク「潮目の血」 @UDOK.

1日目の様子をご報告します。
講師は中山さん、
江戸時代から代々いわきに住みいわきの食文化に詳しい有賀行秀さん、
四家酒造代表の四家久央さん、
いわきの食産業に詳しいいわき産学官ネットワーク協会の阿部峻久さん、
いわき海洋調べ隊「海ラボ」事務局の小松理虔さん、
八戸・釜石に滞在し海と山の漁師・猟師の姿を撮影している田附勝さん

まずはクロストーク1「いわきの食、いまむかし」と題して中山さん、有賀さん、四家さん、阿部さんにお話いただきました。
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人の思いが強くある食材や料理は「文化の結晶」だとおっしゃる中山さん。
阿部さん、小松さんの案内でまわった、いわきのリサーチについて紹介してもらいました。
そこから見えてきたのは、福島の食の多様性、
会津の山の文化とは全く異なるいわきの食文化・人の気性・ある種の捉えどころのなさだといいます。
そのリサーチの課程で出会ったのが、
有賀を名乗って400年、いわきに住んで250年という有賀さん、古くから酒屋を営む四家酒造の四家さん。
お二人のお家に伝わる伝統食についてご紹介いただきました。
とは言っても、家のルーツ、生業、地域によって様々な違いがあり、
「これがいわきの伝統食だ」と言うことが難しい複雑さがあることがわかってきました。

有賀さんちのお煮がしと四家さんちのお煮しめは違うのか?
呼び方、味付け、食べるシーン・・・共通点もありつつ、各家でかなりのバリエーションがあるということ。

いわきは魚?
山側の地域では実はあまり食べないということ、保存方法や代用品が様々に考案されてきたこと、などなど。

いわきの食文化の捉えどころのなさ、それはつまり「多様性、豊かさ」でもあると感じられたクロストーク1でした。

有賀家のお煮がし

有賀家のお煮がし

クロストーク2「いわきの魚食、東北の魚食」
ここでは、中山さん、小松さん、田附さんの3人で、より海に接近したお話をしていただきました。
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いわきで捕れる魚の豊富さ、田附さんがフィールドにしている釜石・八戸の漁、それぞれの特性、その共通点と相違点を話しているうちに、命をいただくという感覚、船と海でつながる環太平洋文化へと議論は広がっていきます。

「船文化やばいよ(笑)」(田附)

そして原発事故の影響について。
数値で食べ物の安全性が測定されている現在、
田附さん、中山さんの言葉で印象的だったのは、
「食べるとは、あの人が捕っている、あの風景の中で捕っているという情景を食べることでもある。だからこそ美味しいと思う」
「信頼している人が、その人の判断で捕った魚なら信頼して食べる」
というもの。
何が安全で何が危険なのか、大量のデータの中で窒息しかかっているなか、
本来、食べるとはどういうことか、信頼できるとはどういうことか、食の本質への問いかけがなされたように思います。

車座トーク「いわき食べものがたり」
最後には全員参加で語り合っていただきました。
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東北でもなく関東でもないといういわきの不思議な立ち位置、山もあり海もあり、開けているが故に様々なルーツの人が流れ込み多様な文化を形成しているという環境。

「いわきの中にもはま・なか・あいづがある。いわきは福島の縮図」(小松)

いわきの捉えどころのなさを掘り下げていくと、そういったことが見えてきます。

最後に大きなテーマとなったのが
食は、現在の人や自然をつなぐだけではなく、過去の先祖や目には見えない世界と今をつなぐ力があるということでした。
「いますがごとく(そこにいるかのように)」食事をお供えすることによって、会ったこともない先祖がいて今の自分がいることに思いを致し、形としては見えない自分の外側にある世界に畏敬の念を抱く。
それは他者への想像力であり、それが今生きていくために大切なことなのではないか、ということが語られました。

締めくくりの中山さんの言葉
「食べものを扱うのは重くてしんどい。でも、食べものは様々なものをつなぐ多様性に満ちあふれている。福島は本当に複雑な所で、それを一つにまとめることは難しいけれど、模索しつづけていきたい」

とっぷりと暮れたところで、1日目の車座トークはお開きとなりました。
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2016.08.01