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2016年8月19日(金)
暮らしの記憶プロジェクト
美術作家・安田佐智種さんによるリサーチが進行中です。
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浪江町請戸で区長をつとめられていた鈴木さんを訪ねました。
鈴木さんは請戸で鈴木酒造店を営まれていましたが、現在は山形県長井市に移り住み、そこで新たに酒造りを始めています。
請戸での暮らしから、新しいスタートを切るまでに至ったお話を聞かせていただきました。

安田さんのリサーチは、かつて住んでおられた家の間取りを描いてもらうことから始まります。
そうだな・・・とおっしゃいながら、鈴木さんは懐かしむように愛おしむように間取りを描いてくださいました。
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震災前、直後、しばらく経た後のご自宅の写真を見せていただきました。
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写真を見ながら、鈴木さんは請戸での暮らし、海への思いを語ってくださいます。
正月の元日・二日は、初日の出と船の出初め式のため、酒店が一年で最も忙しい日であること。
子どもの頃は、毎日朝から晩まで海で遊んでいたこと。
海の事故が起きないように、海水浴場の運営と見回りをつとめておられたこと。

季節によって移っていく、海からの日の出。

鈴木さんのお母様は
「戦争の時でさえ、建物は残ったのに・・・」とおっしゃられたそうです。
何もかもを押し流した津波。
失われた暮らし。
その痕跡、記憶。
安田さんのリサーチと作品は、それらをすくい取り、アーカイブ化する作業です。

鈴木さんご一家は身一つで山形に移り住まれ、様々なご縁と協力を得て酒蔵を再開されました。
最初は山形の雪深さに驚かれたそうですが、今では雪室で保管するなど、新しい酒造りに挑戦されています。
酒造りは休みがない厳しい仕事だと、嬉しそうに語る鈴木さん。
夢は自前の雪室をもつこと、とおっしゃいます。

震災と、東京電力福島第一原子力発電所の事故によって多くを失いながらも、新たに紡がれていく暮らし。
磐城寿はその象徴のような酒です。
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